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HOMEカンバン女子のカフェ < 【ナンシーのカフェ日記-13】おもてなしの準備

 

 ― 私の目を盗んで、君たちがそんなことになっていたとはね。

 

そんな大げさな。偶然会ったからお茶してただけでしょ。
コトブキさんは、ブラックコーヒーとベイクドチーズケーキを頼んで、3人でテーブルを囲みます。
それにしても、このベリーソース美味しい。

 

 ― コトブキさんは、この近くに用事が?

 

 ― この辺りに研究仲間がいてね。時々、この道を通るのだよ。だがこの店は初めてだ。
   私には馴染みの店があるからね。

 

あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。
今日はお天気も良いので、カフェテラスでのんびりと、コトブキさんの研究の話や、メガネさんのお仕事の話で盛り上がります。

このカフェもテイクアウトをやっているのね。
店員さんも多いし、うちのお店とは規模が違うけど手際も良いし、掃除も行き届いているし、とっても勉強になるなぁ。あ、いけない、また職業病…

ぼんやりとテイクアウトカウンターを眺めていると、手話をされるお客さまがいらっしゃいました。
店員さんがメニューブックを使って、指さしで注文を受けています。
そして、カウンターの下から文字の書かれた紙を取り出します。

 

「スタンプカードはお持ちですか?」「紙袋は必要ですか?」

 

お客様は、首を縦に振り、スタンプカードを差し出しています。

 

 ― 素敵な店だね。おもてなしの準備がしっかりと出来ている。

 

ほんと、その通りね。感心しちゃう。 ああやって先に準備をしてあれば、慌てる心配もないし
お客さんを困らせることもないものね。見習わなくちゃ。

 

 ― 英語が苦手な君には、ぴったりな方法じゃないか。
   Do you have a stamp card?
   Do you need the paper bag?
   こんな感じでね。

 

うう、何も言い返せない…。時々外国の方もいらっしゃるけど、いつも慌てちゃうのよね。
ほんと良く見てるわね、コトブキさん。
もちろん、勉強はしているのだけど! 慣れるまでは一応・・・紙に書いて準備してこうかしら。

 

 ― 出来る範囲で、君らしいおもてなしをするといいさ。

 

そう言って、コトブキさんは立ち上がりました。
あら、もう行くの?

 

 ― 私は忙しいのでね。まぁ、君たちはゆっくりしていきたまえ。

 

そう言って、コトブキさんはスマートに去っていきました。
じゃあ、私たちはもう少し、ゆっくりしていきましょうか、メガネさん。

 


 

指さしカードは、耳が不自由なお客様や外国のお客様にとって便利なものですが、
マスクをしていたり、飛沫防止シートがあったりでコミュニケーションを取りづらい今の環境でも役に立ちそうですよね。お店に必要な指さしカードをつくって、お客様をおもてなししましょう!


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