― 私の目を盗んで、君たちがそんなことになっていたとはね。
そんな大げさな。偶然会ったからお茶してただけでしょ。
コトブキさんは、ブラックコーヒーとベイクドチーズケーキを頼んで、3人でテーブルを囲みます。
それにしても、このベリーソース美味しい。
― コトブキさんは、この近くに用事が?
― この辺りに研究仲間がいてね。時々、この道を通るのだよ。だがこの店は初めてだ。
私には馴染みの店があるからね。
あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。
今日はお天気も良いので、カフェテラスでのんびりと、コトブキさんの研究の話や、メガネさんのお仕事の話で盛り上がります。
このカフェもテイクアウトをやっているのね。
店員さんも多いし、うちのお店とは規模が違うけど手際も良いし、掃除も行き届いているし、とっても勉強になるなぁ。あ、いけない、また職業病…
ぼんやりとテイクアウトカウンターを眺めていると、手話をされるお客さまがいらっしゃいました。
店員さんがメニューブックを使って、指さしで注文を受けています。
そして、カウンターの下から文字の書かれた紙を取り出します。
「スタンプカードはお持ちですか?」「紙袋は必要ですか?」
お客様は、首を縦に振り、スタンプカードを差し出しています。
― 素敵な店だね。おもてなしの準備がしっかりと出来ている。
ほんと、その通りね。感心しちゃう。
ああやって先に準備をしてあれば、慌てる心配もないし
お客さんを困らせることもないものね。見習わなくちゃ。
― 英語が苦手な君には、ぴったりな方法じゃないか。
Do you have a stamp card?
Do you need the paper bag?
こんな感じでね。
うう、何も言い返せない…。時々外国の方もいらっしゃるけど、いつも慌てちゃうのよね。
ほんと良く見てるわね、コトブキさん。
もちろん、勉強はしているのだけど!
慣れるまでは一応・・・紙に書いて準備してこうかしら。
― 出来る範囲で、君らしいおもてなしをするといいさ。
そう言って、コトブキさんは立ち上がりました。
あら、もう行くの?
― 私は忙しいのでね。まぁ、君たちはゆっくりしていきたまえ。
そう言って、コトブキさんはスマートに去っていきました。
じゃあ、私たちはもう少し、ゆっくりしていきましょうか、メガネさん。
指さしカードは、耳が不自由なお客様や外国のお客様にとって便利なものですが、
マスクをしていたり、飛沫防止シートがあったりでコミュニケーションを取りづらい今の環境でも役に立ちそうですよね。お店に必要な指さしカードをつくって、お客様をおもてなししましょう!
→ サインレシピを見に行く『指さしカードでコミュニケーション!』
