ある日の夕暮れ時
窓からオレンジの光が差し込みます。
今日も穏やかに時間が過ぎてゆき、まもなくラストオーダーのお時間です。
店内には、コーヒーを片手に本を読むコトブキさん、いつも仲良しのお団子ちゃんとベレー君。
いつもの日常です。
コトブキさん、ずいぶんと分厚い本を読んでいるのね。何の本?
―とある研究の本さ。話せばざっと1時間はかかるかな。聞くかい?
あらそう、なら遠慮しておくわ。もうすぐ閉店ですもの。
あっさり断られて、ちょっと残念そうなコトブキさん。また今度、ね。
そう思いながら洗い物をしていると、ドアが開き、ノートPCを持った、すらりとした女性のお客様が入店されました。
いらっしゃいませ!
洗い物の手をとめて、お水と紙おしぼりを持っていく。
ごめんなさい、これでラストオーダーなんです。
―あ、そうなんですね。閉店は何時ですか?
あと30分です。 あ、でも全然、時間過ぎても大丈夫ですから。
お客さんもまだいらっしゃいますし、ゆっくりしていってください。
―ありがとうございます。コーヒーは飲みたかったし…じゃあ、1杯お願いします。
優しい人で良かった。急いで、コーヒーを淹れます。ほんとはきっと、お仕事したかったのよね。
ノートPC持ってるし。ちょっと申し訳ないことしちゃったかな。
結局、お客さんは気を使ってくれたみたいで、閉店時刻通りに、帰っていかれました。
これから映画を見に行くんだ、と楽しそうなお団子ちゃんたちと、
研究の話をしたくてたまらなそうなコトブキさんを見送って ひとりお店を片付けます。
私はただコーヒーを飲んでほしいわけじゃなくて、お店でゆったりとした時間を過ごしてほしいから
このお店をやっているのよね…。なのに…なんだか本末転倒だわ…。
どうしよう、営業時間短い?延ばしたほうがいいのかな。でもじゃあ、いつまでにするの?
ため息をつきながら、カウンターを掃除していると…
あら?
1枚のメモが残されています。右端に小さなシルクハットマーク。
これ、コトブキさんの…
『営業時間とラストオーダーは、お店の外に表記しておくといいよ。
そうすればお客さんが、自分のペースに合わせてお店を選べるだろう。』
…なるほど、そうね!表記があれば、安心してお店に入れるし、今日みたいに、せっかくうちの店を選んでくれたのに がっかりさせてしまうことも、なくなるわ。
『君のことだから、営業時間を延ばそうなんて考えているんじゃないかい?
君が無理をして身体を壊してしまっては、本末転倒だよ。』
……コトブキさん。
メモを抱きしめながら、今度は研究の話ちゃんと聞いてあげよう、と心に誓うナンシーでした。
コトブキさん、スマートですね。
お店に行きたくなる目的やタイミングは人それぞれ。お客様が選択しやすいように、お店の営業時間などの条件は、あらかじめ表示しておくと親切ですよね。
KJストアも、ぜひ見に来てください!
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営業時間やラストオーダーの追記や、ロゴマークを入れることも可能です。
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